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洋書感想「Big little Lie」ビッグリトルライ

あらすじ

幼稚園の資金援助パーティーで人が死んだ。不慮の事故なのか、もしくは殺人なのか? 警察官が参加者に事情聴取を行うが、証言にまとまりはない。ただし、この幼稚園では日常的に親同士の争いが繰り広げられていた。すべての始まりは幼稚園のオリエンテーション日、シングルマザーのジェーンの息子ジギーがレナータの娘アナベラを傷つけた容疑から、母親同士で対立が勃発した。

 

感想

質の高いミステリもさることながら、親同士の争い、シングルマザーの苦悩、家庭内暴力など数多くの社会問題を詰め込んだ作品。登場人物の気持ちに共感することが小説の醍醐味だと思っているが、この本は人の感情を書くのが上手く、感情を揺さぶられる場面がいくつもあった。

 

例えば、主人公の一人であるマデリンは、最近14歳の実娘アビゲイルが、元夫とその現妻ボニーの影響を強く受けていることが気に入らない。アビゲイルがボランティアを精力的に行ったり、マデリンと一緒に見ていた娯楽番組を拒否し始めることで、まるで娘がボニーに捕られたように感じるマデリン。思春期の子供としては親の都合で頻繁に互いの家を行き来して大変なのだろうけど、どうしてもマデリン目線で同情したくなる場面が多かった。このマデリンとボニーの性格が正反対で、まるで風と共に去りぬの二人のよう。ゴシップとテレビが好きで猪突猛進なマデリンはスカーレット、ビーガンでヨガとボランティア好きの聖人ボニーがメアリーに重なり、スカーレット大好きな私としては常にマデリンを応援していた。(ボニーのような人間聖人過ぎて気に入らないけど、その嫌いな理由を考え始めたらまるで自分が欲にまみれて自己中心な人間のように思えてくる。)

 

それ以外にも、愛と暴力について深く考えらせられた。詳しく書くとネタバレになるので書けないが、例えば、互いの同意がない性行為だとしても、世間の目は女側に厳しく被害者の過失を責められる場合がある。小説のないような極端な場面はないにしろ、おそらく、男と女で目線が違うことが多いトピックだと思う。だから、被害者側の女性を責める男側の意見について怒りを覚えたのかもしれない。私はTwitterであえて性別をぼかす試みをしているが、この小説の感想はどうしても女性目線での感情があふれてきたように感じる。いくつかのレビューを見ても、特に女性にお薦めしたくなる気持ちがわかる。

 

2020年に読んだ洋書の中で一番面白かったので、英語も苦労なく読めた気がする。(そんなに、冊数よんでないけど…笑)

 

ドラマとしてシーズン2まで配信されているよう。ただあらすじを見た感じ、小説にはない設定が組み込まれているので、見れたら見るぐらいかな(行けたら行く的な)