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洋書感想「The Culture Map」異文化理解力

概要

ドイツ人は時間に厳しい、ラティーノは情に厚いなどの各地域による文化や価値観の違いを、ビジネスの場面に特化し解説。具体例も交えながら、文化の違いを8つの分類にわけ可視化。日本語でのタイトルは異文化理解力。

 

感想

今までぼんやり理解したつもりだった国民性の違いについて、この本は図や具体例を交えわかりやすく説明したことでより学べたように感じる。具体例が多いためたまに本筋が分からなくなったが、話の臨場感が伝わってくるので私は好きだった。例えば、アメリカ人がなにか部下に指導せねばならないとき、まず良い点を3つ述べてから本題の悪い点を指摘する。これはよく海外テレビや映画でみるシーンだったので、そういうことだったのかと新しい発見があった。

 

その他にも、日本人の仕事の働き方についても予想以上に多く解説していた。日本特有の稟議書と根回しについてとりあげ、日本人はヒエラルキー性だが全員のコンセンサス重視と解説してあった。私は日系企業でしか働いたことがないので、この根回しや稟議書は仕事として必須のものだと思っていたので、日本特有の考え方と紹介されており新鮮だった。ただ個人的には無駄な稟議書も多く存在すると感じているので、そんな無駄なシステムは早く撲滅してほしい。

(一度、予算が高額な機器を購入せねばならない場合、6人に承認をもらわねばならなかった。最終承認者が出張でほぼ会社におらず、かつ電子印鑑では機嫌が悪くなるため、常に彼が会社にいる日程を確認せねばならなかった。やっと捕まえたと思ったら購入理由を聞かず「僕の印鑑使って勝手に押しといて」だったので、こいつの愛用ゴルフクラブが折れる呪いをかけた。)

 

 

ただアメリカ人からみた世界なので、たまに首をかしげたくなる場面もあった。

例えば、日本人は何か指摘や注意するとき間接的に話す分類に入っていたが、少々疑問が残った。外部に対してはそうかもしれないが、社内や部下に対してはかなり高圧的に接する人も多い気がする。

それ以外にも、自分と仕事の考え方が異なる国で働く場合、その国出身の社員の仕事方法は理解せねばならぬが、決して真似はしてはいけないと書いていた。例えば、ネガティブのフィードバックを直接的に伝える国(ドイツ)で働く韓国人が、現地社員の真似をして直接的な表現を心がけたら部下から嫌われた話。ある程度のラインを理解してないと失敗してただ嫌な奴になるから控えるべきと書いてあり、その韓国人異国の地で働いて現地に合わせようとした結果なのに、可哀そう…。とつい同情したくなった。もう少し、現地社員からフィードバックを素直にもらい改善しようとする心構えが必要☆!とか、書き方があったのではないかと思った。

 

あと全世界で分類しているので仕方がないが、ヨーロッパ(北、南)アメリカが詳しく書かれ、南米、アジア、アフリカはざっくばらんとした区分けだったように感じる。

 

 

いくつか疑問は残るが、この本を読んだことで今後なにか国際的なビジネスの場面で違和感を持った時、「もしかしたら、この人は自分と異なった〇〇の考え方を持っているかもしれない」と事前に理解でき、許容できる範囲を広げることができたと思う。

 

これからビジネス上で外国の企業とやりとりし始める人、駐在員選ばれた人にはオススメの本。ちなみに旦那(海外勤務中)にこの本の内容をシェアしたら、わりかし共感して興味を持っていた。(むしろ読んでほしい)