洋書を積む

洋書とたまに和書の感想ブログです。洋書読みお友達がほしいです。

洋書感想「Hillbilly elegy」

あらすじ

“私達のようなプアホワイトな田舎者はRed neck, Hillbilly, white trashと呼ばれる” ラストベルトの小さな荒廃した街に生まれた著者が、薬中の母と何人も入れ替わる父親と住む家庭崩壊した家から飛び出し、海軍で紛争地に従事、その後有名大学のLaw schoolを卒業、アメリカンドリームを手に入れるまでの自叙伝

 

 

 

感想

なぜアメリカはトランプが大統領になれたのか?トランプ支持層のアメリカ白人(プアホワイト)の実情を明らかにしたと話題になった本。ヒルビリー(白人の田舎者)は、貧困家庭が多く、暴力、アルコール、薬中中毒率が高く、大学進学率が低い。またアメリカは世界で一番成功している国で、そんな国に生まれた自分たちを誇りに思っている。ヒルビリー達はオバマが大統領に就任したとき、肌の色から出生地を疑い、他国との共謀論を信じていた。そんな思想が存在することにまず驚いた。確かにこの本は、言葉にされなかったアメリカの内部を表に引きずりだしたのかもしれない。

 

ただプアホワイトについて学べる本かもしれないが、読み進める内に私は荒れていた自身の地元を思い出した。勉強しているやつが馬鹿にされ、大学に行く人が少数の世界。この本ほどひどい環境ではなかったけど(少なくとも私が知っている中で薬物中毒はいなかった)、校則や窓ガラスを破り、授業に参加せず、恋愛問題がおこればビッチの裏切り者としてチェーンメールで回される世界。その行為を楽しそうに支配する層が、ヒエラルキーに立っていた世界。その環境が嫌で抜け出した著書と自分が重なり、場所は違えど、あの世界はどこにでも存在するのだと思った。

 

著者は、祖父母や姉リンジーや親戚の支えと自身の努力もあり劣悪な環境を乗り越えた。その経験から、現在は虐待や貧困家庭の子供たちをサポートする活動に精力的である。最後のシーンで、顔も知らない子供たちのためにクリスマスプレゼントを選んでいるシーンで少し胸が打たれた。

 

あとこの本を読み進めていくうちに既視感に襲われた。後で理解したのだが、一時期はまっていたこんなひどい毒親から飛び出した!系の2chスレみたいだなと思った。この本の前に読んだEducated(Tara Westover)も毒親(簡潔に表現できる便利な言葉だよね)から飛び出した話で、「こんな環境だったけど、抜け出して今は成功している!」を連続して読んだので、なんだか少し疲れた…。

次は妄想の世界を楽しみたい…。

 

英語としては、わからない単語が複数ありなんとか読める感じ。もっと単語力つけたい。

 

評価 7/10

単語数 59000 word

 

洋書版のリンクの張れなかった…。

ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち

ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち

  • 作者:J.D.ヴァンス
  • 発売日: 2017/03/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)