洋書を積む

洋書とたまに和書の感想ブログです。洋書読みお友達がほしいです。

洋書感想「The Help」

あらすじ

“Separate but equal” 1962年、ミシシッピ州アラバマにある小さな町Jackson。子守と文章を書くことが得意なAibileen、口は悪いが料理の腕は一流のMinnyは黒人メイドコミュニティの中でも仲良しの二人組。陰で悪口を話しても雇い主の白人達には逆らわない。はずだった...。一方で、大学卒業後実家に戻りジャーナリストを目指すSketterは、地元の友達との考え方のずれを感じながら、今まで誰も触れようとしなかった話題を本にしたいと思案する

 

読んだきっかけ

引っ越しの2日前に古本屋で大量買いした内の一冊。目立つところで山積みになっていた=多くの人が買っていた作品と予測したこと、また表紙の書評で

”This could be one of the most important pieces of fiction since To Kill a Mockingbird…If you read only one book… let this be it” -NRP.org

の文章にも惹かれた。その時は大量に本を買っていたので、日本に到着してからは完全に忘れていたが、部屋の片づけをしていた時に発見し♯積読weekに選んだ。

 

感想

 主な登場人物は黒人メイドのAibileenとMinny, 白人のSkeeter3人で、章ごとにそれぞれの視点で語られる。1960年代、ディープサウス、公民権活動が始まりだした時代だが、ジャクソンではテレビや雑誌で扱われたデモ情報を他人ごとのように眺めるだけ(そのニュースですら、黒人がテレビを見ているところを白人が止めさせる場面がある)。同じ町に住んでいるが、白人と黒人には明確な境界線があり、住む場所も職も異なる貧富の差だけではなく、トイレや食器を分けること、正当防衛との名ばかりで黒人が不当に暴力を受ける事件が発生していた。しかし、黒人たちは、報復を恐れ声を上げることができなかった。

 

 一方で、白人かつ大学卒のSkeeterはジャーナリスト志望だが仕事を応募した出版社から経験不足を指摘され、とりあえず地元紙のお掃除コラム(ゴーストライター)の仕事に就く。その後、キャリアを積むために個人で本を書くことを計画し、選んだ題材の一つに白人の家で働く黒人たちの声をまとめ上げる案を考え出す。この時彼女はあくまでも黒人に対して侮辱や差別はしなかったが、(彼女の一番の理解者が黒人メイドだったし)、その目に見えない分断を理解していなかった。少し前に炎上したCakeの受賞作でホームレスの生活について珍獣扱いのように書いたコラムのように、黒人の社会的地位向上に貢献するよりも、ネタの一つとしてみていた。そのため、黒人のメイドAibileenに本の話を提案するとき、彼女の家の前(黒人しか住んでいない区域)に押し掛けた。白人が黒人の家に訪れる。近所の人は不審がり、最悪の場合圧倒的に不利な状況にあるAibileenは職場を失うリスクがあった。その場面は、Sketterが自分の都合しか考えず、弱き立場の声を簡単に拾い上げられると無責任の情熱を押し付け、読んでいるこちらが恥ずかしくなった。

 

 しかし、雇い主からの不平等な扱いや黒人が巻き込まれた事件を目の当たりにして、Sketterは白人が黒人に接する態度や行動に疑問をもちだす。また黒人メイドの二人も胸に植え付けられた小さな怒りの種が日々膨らんでいく。この現状を文字に残すため、共通の目標をもって互いに歩み寄りだす。この中盤あたりが個人的には一番、好きだった。

 

 全体を通して人事差別が主なテーマだが、20代すぎの女の友情、恋愛、家族愛、白人内での富と貧困などかなり盛りだくさんな内容をこの一冊に閉じ込めたと思う。各キャラクターが魅力的なので、読んでよかった。

 

 私にとって、2020年にアメリカでの人種差別の歴史について学べた年だったように感じる。それまでは、ただ白人とそれ以外の人種で過去にひどい扱いを受けていたこと、キング牧師の名前、トイレとバスが人種によってわけられていた写真は教科書で見たような気がする。それだけの知識だった。

 自分が住んでいる町でBLMのデモが開催される、ニューオリンズプランテーション跡地に訪れる、1910年を舞台にしたRed Dead Redemption2をプレイする(ゲームといえどかなり細かい時代設計が練りこまれているなど)、そしてこの本に出会った。

 言葉を交わし同じ社会に住んでいるもの同士なのにもかかわらず、Help(メイド)のため、家の価値を上げるためと屁理屈をこね、黒人専用のトイレを設置し使用を強要させられる。外を歩いていただけでも通報され、白人トイレを使用しただけでもリンチに遭う。この本がフィクションだとしても、教科書で習った遠い過去の世界から、現代にも続く人種差別の歴史を学べたと感じる。そのため、この本だけではなくこの時代について書かれた本を読みたいと思う。作中に繰り返しでてきた名作To Kill a Mockingbirdが一番面白そうかな(難しいだろうから日本語で読むかも…)

「The Testaments」 誓願

あらすじ

 3人の証言者を通して、ギレアデ共和国の内部が語られていく。あのある侍女の物語から数年後、カルト国家ギレアデはどう変貌したのか?女性の最高権力者として像が建てられるほど崇められているリディア小母、ギレアデの貴族階級で育ったアグネス、カナダの古着屋を両親に持つデイジーの異なる人生を送ってきた3人の運命が次第に交差していく。

 

感想

 私の中で「侍女の物語」はあの生ぬるい気持ち悪さが忘れられずにいた本だった。続編がでたことは知っていたが、あのボリュームを英語で読むには…と躊躇していた本だった。しかし、久しぶりに都会の大きな本屋でゆっくり本を選び終わり、いざレジに並ぼうとしたときにあの特徴的な表紙が目に入った途端、これは今読むべきなのかなと直感が働き、気がつけば一緒に購入していた。ちなみに日本語で今回は読みました。

 

 まずこの本を読み進めていくうちに、今シスターフッドが非常に多く濃く書かれていること、また特権階級に支配された世界から「風と共に去りぬ」が頭の中をかすめていた。実際に、リディア小母のTomorrow is another dayのセリフや、書評からも作者の名前が二人ともマーガレットなのに触れ、この2冊の本の相似性を挙げていた。

 

 私は「風と共にさりぬ」が大好きで、続編は読みたくない派の人間だ(今のところは)。決してHappy ever afterではなく、読者に委ねたあの終わり方が好きなのだ。今のご時世、人種差別により繁栄した南部の貴族社会に全て賛同することはできないが、自らの豊かな生活が崩壊、再建されつつある混乱の時代に多くの人を背負わねばならかったスカーレットの強さとしたたかさ、彼女の真逆に存在するメアリーの弱さとしとやかさ、その彼女たちを愛すまたは嫌う周辺人物が混ざり合い、だれもが必死に生きたあの世界が私の心の中に占めている。

 

侍女の物語」もカルト国家ギレアデに支配された世界で女性が生きていく息苦しさが書かれ、作者からの救済はあるものの、はっきりした結末ではなく読者に委ねられる結末だった。また男性>女性が大前提であるが、女性の中でも妻、侍女、そしてマーサや小母など互いに疎ましく思いながら、自分たちの役割に心境はどうであれ従事し、先が見えない日常を必死に生きていかねばならなかった。

 一方で、続編「誓願」では、共通の敵や目的がはっきりしているので前回のような抜け出す道がないような苦しさはない。つい夢中で読み終わってしまった後も、一つの爽快感が得られ読者が望む展開だったのかもしれない。最後の解説からも確かにこの現代で前回のような結末には持っていけなかっただろうから、この2020年だからこそかけた続編だと思う。

 

 しかしその犠牲として、物語上で少し無理がある設定や状況があり、ご都合主義だった場面を多くあった。この本でも最後に、未来の学者たちから研究されたギレアデ共和国のシンポジウムが開催されているが、研究結果をもう少しぼかして読者に委ねることはできなかったのだろうかと思った。

 

 続編である「誓願」では、多視点であの不気味な国ギレアデについて書かれているため、国の内部だけではなく外国との外交関係について幅広く知れた点は良かったと思う。またあの気持ち悪い世界から抜け出せてよかったとも感じる。でもあの世界から抜け出さずこの結末を知りたくなかった自分もいるから、なんだかすごく複雑でこの感想を書いている間も何度も悩んだ。

 

 やっぱりあの世界観が私の心の中を占め続けるので、「風と共に去りぬ」が人に薦めたい私の心の中の一部、「侍女の物語」が人には薦めたくないが私の心の中の一部なのかなぁと何回も考え直してようやくでた結論な気がする。

 

 だからこの本も読めてよかったと認めながら、まだもう少し「侍女の物語」の世界をたまにぼんやり思い出せればいいかなぁと思う。(ずっと考えていたら、心が病む気がする)

洋書感想「The Hunger Games」ハンガーゲーム

あらすじ

 北アメリカが崩壊し建国された独立国家パネラでは、毎年従属層の12自治区から男女1人ずつが選出され、最後の1人になるまで殺し合う「Hunger Game」が開催される。Katnissは妹を庇い、今年の出場選手となった。愛すべき家族、友人と再会する条件は勝利のみ

 

感想(今回はけっこうネタバレあります)

 この本を知ったきっかけは、図書館で見かけた掲示板でBook Nerdがお薦めする本!に入っており、なんとなく名前だけ記憶していた。またスティーブンキングのドクタースリープの話の中でハンガーゲームを読むシーンがあり、内容はまったく知らないものの、高い知名度から少しずつ気になっていた本だった。極めつけは5月ぐらいにハンガーゲームの続編!が本屋で山積みになっており、これは読むしかないと!The Hunger Gamesと新作The Ballad Of Songbirds And Snakesを購入。The Hunger Gamesを読み終えた後、三部作だと気がつき引っ越し前に急いでCatching fireとMockingJay購入。

 

 シリーズを深めるごとに魅力が増してくる本で、まず1で世界観を構築し、2でその世界観を壊しながら広げ、最後まで読者をハラハラさせてラストまで突き進んでいったシリーズだった。

 

内容も知らずに手に取ったけど、前回記事の侍女の物語と同じ、アメリカが破壊された後に建国された国が舞台だった。一部の上流階級が富と発言権を持ち、残り多数の民は十分な食料もなく、自治区ごとに職業が決められ未来の選択肢はほぼない。そんな条件下で、年に一度自治区の子供達を1/24の確率で生き残るハンガーゲームに生け贄として差し出さねばならぬ。少し気になったのは、このハンガーゲームが過去の反逆を忘れさせないためと大儀名分があったとしても、革命を引き起こす引き金になったのではないかと。子供達の殺し合いを娯楽として消費することなく、自治区間ごとで情報を制限しより強固なヒエラルキー社会ならば、人々も自分の生活に疑いなく不満をいいながら過ごしていたのではないのかなと、設定が少し無理やりだった気もした。ただ、最初のつかみはハンガーゲームで生き残れるか?だったので、このゲームがなければ話は進まなかったのだろうけど…。最近出た新作は過去の話なので、このゲームの始まりとかも重点的に書いててほしい。最近ハラリ先生の21 lessonsを読んだこともあり、社会制度や政治(資本主義と共産主義)に興味を持ちだしたので、ディストピア社会の名作と名高い「1984」もいつか読みたいなぁ。

 

 3部作なのでキャラクターはかなりいるけれども、インパクトのあるキャラが多いのでわりかし覚えていることはできた。主要メンバーは10代の未成年なので、大人に利用されたり自分の意見が通らない場面も多い。だからこそなぜそんな間違った判断するのかと、もどかしい気持ちになることもあった。でもその未熟な部分がティーンエージャーの心の揺れを上手く表現できていたのかと、全てのシリーズ読み終えたら少し納得した。戦士としては重要な戦力だけれども、心は少し未熟なため過ちを犯すところがあるみたいな。

  あと主人公と三角関係である男の子2人より、サブキャラの方がすごくかっこよかった。どのキャラが好き~?私はHaymitchとCinna!とか、だれかとお菓子食べながら語り合いたい…。ちなみに自分的に信じたくない部分があって、Googleで「なぜ 〇〇 〇〇になった」、「〇〇 その後」とか読書後、血眼で探しましたね…。いや、きっと読者に少し希望を持たせるラストにしたのは作者のやさしさなのかな…。(絶対二次創作いっぱいあると思う)

 

 映画も上映されていたのに、私はタイトルすら知らなかったことに驚き。ちなみに私が住み始めた田舎の図書館、本屋では和訳されていた本が見つからなかったので、アメリカほどあまり話題にならなかったのかな?まだまだ私が知らない本がたくさん存在するのだろうな。

 

 たまに中だるみもありまた私も忙しかったので思ったより読む時間がかかったけど、最後まで読み切れてよかった!ファンタジー小説好きな人にはおすすめです。

洋書感想「The handmaid's tale」侍女の物語

あらすじ

アメリカ内にキリスト教原理主義として建国されたギレアデ。女性はランクごとに服の色が決められ、肌をだすこと、財産を持つことは許されない。主人公は名前を持つ事を許されず、権力者の所有物として子供を産むことだけが役目。

 

感想(ちょっとネタバレ)

 この本はオンライン英会話レッスンで、印象に残った本について話していた時に先生から教えてもらった。国の中で女性達にそれぞれの役割があり厳格なルールの下で管理されている。その後、先生が世界観を説明しようとしていたが、うまく表現ができず、なんだかもどかしそうな顔をしていた。最初は、英語非ネイティブの私にわかりやすく説明しようとしているのかと思ったけど、どうやらそうでもなさそう。そこから月日もたち忘れかけていたが、偶然立ち寄った本屋で印象的な表紙を見つけ、この出来事を思い出し読もうと決意した。

 

 読み始めは社会主義ファンタジーの世界かと思いきや、アメリカで建国された国なので主人公が昔の自由だった時代を思いだす場面にアンバランスに感じる。なぜ、自由なアメリカ時代を知っているはずなのに、この制限された世界で生きることを認めているのだろうか?不思議に思いながら、少しずつ引きこまれながら読み進めていく。

 

 多くの小説は、少し非凡な何かしらの才能をもった主人公が、劣悪な環境から紆余曲折あり自分の望んでいた輝かしい未来手に入れるサクセスストーリ―が好まれる。しかし、この小説の主人公は普通である。今の生活に満足せず嫌気がさしているものの、半ば諦めながらこの生活を許容している。自ら変化を起こすわけでもなく、過去この支配された生活から逃げた友達、旦那や子供を繰り返し思い出す日々。この物語は、抑圧された世界で生きる主人公が凡人で感情がリアルなため、まるで自分もその世界にいるような心境に陥ってしまったように感じた。

 

 また国としてヒエラルキー社会を成立させるため、徹底的にお互いを監視させあうこと、繰り返し価値観を刷り込むことの恐ろしさに終始暗い気分になる。女性間でランクと役割を持たすことで、自分の仕事は他人よりましと優越感を持たし、役割ごとに分断させるシステムなど、極端なヒエラルキー社会ではこのような環境を作る重要さを知れた。

 

  私が一番辛くなった場面は、禁じられている服装(肌が露出している)をCommanderに渡され、パーティーに連れていかれたところ。その場所にいる女性は、権力のある男性によって連れてこられ、裏から入手した衣装や靴を着させられているためどれも似合わない。サイズが合わない露出した服など逆に見苦しく、注意しないと局部を見せてしまう可能性もある。その服を渡された女性なら、魅力的に見せることが目的の服が、悲しいことに滑稽にダサく映ることはわかっているはず。それでも権力のある男たちの欲望のため、その服を着ることを強制されるこの着せ替え人形ごっこが、一番自由を制限されていることを痛感した場面だった。酒とたばこが許される小さなユートピアだったとしても、そこに自由はない。ぱっと頭の中で思いついたのは、力関係が不平等なカップルが、ラブホテルで男に無理やりコスプレを強制される感じ。だれかが着た古びたサイズの合わない服など、ただのごみである。それでも、男の存在しない理想のため服を着替える。

 

 話の展開で現実と過去が交差するので、何回も読みかえす必要があった。読み終えた後日本語版買ったが、それでもこの小説自体が私には難しかった。なんだか言語化できないとTwitterで書いたけど、なんとか自分の中から感想を引き出してみた。

 

 決して愉快な物語ではない。だとしても私の心の中に残り続けている。あの時、英会話の先生が伝えようとした気持ちが少しわかるような気がした。

洋書感想「The Culture Map」異文化理解力

概要

ドイツ人は時間に厳しい、ラティーノは情に厚いなどの各地域による文化や価値観の違いを、ビジネスの場面に特化し解説。具体例も交えながら、文化の違いを8つの分類にわけ可視化。日本語でのタイトルは異文化理解力。

 

感想

今までぼんやり理解したつもりだった国民性の違いについて、この本は図や具体例を交えわかりやすく説明したことでより学べたように感じる。具体例が多いためたまに本筋が分からなくなったが、話の臨場感が伝わってくるので私は好きだった。例えば、アメリカ人がなにか部下に指導せねばならないとき、まず良い点を3つ述べてから本題の悪い点を指摘する。これはよく海外テレビや映画でみるシーンだったので、そういうことだったのかと新しい発見があった。

 

その他にも、日本人の仕事の働き方についても予想以上に多く解説していた。日本特有の稟議書と根回しについてとりあげ、日本人はヒエラルキー性だが全員のコンセンサス重視と解説してあった。私は日系企業でしか働いたことがないので、この根回しや稟議書は仕事として必須のものだと思っていたので、日本特有の考え方と紹介されており新鮮だった。ただ個人的には無駄な稟議書も多く存在すると感じているので、そんな無駄なシステムは早く撲滅してほしい。

(一度、予算が高額な機器を購入せねばならない場合、6人に承認をもらわねばならなかった。最終承認者が出張でほぼ会社におらず、かつ電子印鑑では機嫌が悪くなるため、常に彼が会社にいる日程を確認せねばならなかった。やっと捕まえたと思ったら購入理由を聞かず「僕の印鑑使って勝手に押しといて」だったので、こいつの愛用ゴルフクラブが折れる呪いをかけた。)

 

 

ただアメリカ人からみた世界なので、たまに首をかしげたくなる場面もあった。

例えば、日本人は何か指摘や注意するとき間接的に話す分類に入っていたが、少々疑問が残った。外部に対してはそうかもしれないが、社内や部下に対してはかなり高圧的に接する人も多い気がする。

それ以外にも、自分と仕事の考え方が異なる国で働く場合、その国出身の社員の仕事方法は理解せねばならぬが、決して真似はしてはいけないと書いていた。例えば、ネガティブのフィードバックを直接的に伝える国(ドイツ)で働く韓国人が、現地社員の真似をして直接的な表現を心がけたら部下から嫌われた話。ある程度のラインを理解してないと失敗してただ嫌な奴になるから控えるべきと書いてあり、その韓国人異国の地で働いて現地に合わせようとした結果なのに、可哀そう…。とつい同情したくなった。もう少し、現地社員からフィードバックを素直にもらい改善しようとする心構えが必要☆!とか、書き方があったのではないかと思った。

 

あと全世界で分類しているので仕方がないが、ヨーロッパ(北、南)アメリカが詳しく書かれ、南米、アジア、アフリカはざっくばらんとした区分けだったように感じる。

 

 

いくつか疑問は残るが、この本を読んだことで今後なにか国際的なビジネスの場面で違和感を持った時、「もしかしたら、この人は自分と異なった〇〇の考え方を持っているかもしれない」と事前に理解でき、許容できる範囲を広げることができたと思う。

 

これからビジネス上で外国の企業とやりとりし始める人、駐在員選ばれた人にはオススメの本。ちなみに旦那(海外勤務中)にこの本の内容をシェアしたら、わりかし共感して興味を持っていた。(むしろ読んでほしい)

洋書感想「Big little Lie」ビッグリトルライ

あらすじ

幼稚園の資金援助パーティーで人が死んだ。不慮の事故なのか、もしくは殺人なのか? 警察官が参加者に事情聴取を行うが、証言にまとまりはない。ただし、この幼稚園では日常的に親同士の争いが繰り広げられていた。すべての始まりは幼稚園のオリエンテーション日、シングルマザーのジェーンの息子ジギーがレナータの娘アナベラを傷つけた容疑から、母親同士で対立が勃発した。

 

感想

質の高いミステリもさることながら、親同士の争い、シングルマザーの苦悩、家庭内暴力など数多くの社会問題を詰め込んだ作品。登場人物の気持ちに共感することが小説の醍醐味だと思っているが、この本は人の感情を書くのが上手く、感情を揺さぶられる場面がいくつもあった。

 

例えば、主人公の一人であるマデリンは、最近14歳の実娘アビゲイルが、元夫とその現妻ボニーの影響を強く受けていることが気に入らない。アビゲイルがボランティアを精力的に行ったり、マデリンと一緒に見ていた娯楽番組を拒否し始めることで、まるで娘がボニーに捕られたように感じるマデリン。思春期の子供としては親の都合で頻繁に互いの家を行き来して大変なのだろうけど、どうしてもマデリン目線で同情したくなる場面が多かった。このマデリンとボニーの性格が正反対で、まるで風と共に去りぬの二人のよう。ゴシップとテレビが好きで猪突猛進なマデリンはスカーレット、ビーガンでヨガとボランティア好きの聖人ボニーがメアリーに重なり、スカーレット大好きな私としては常にマデリンを応援していた。(ボニーのような人間聖人過ぎて気に入らないけど、その嫌いな理由を考え始めたらまるで自分が欲にまみれて自己中心な人間のように思えてくる。)

 

それ以外にも、愛と暴力について深く考えらせられた。詳しく書くとネタバレになるので書けないが、例えば、互いの同意がない性行為だとしても、世間の目は女側に厳しく被害者の過失を責められる場合がある。小説のないような極端な場面はないにしろ、おそらく、男と女で目線が違うことが多いトピックだと思う。だから、被害者側の女性を責める男側の意見について怒りを覚えたのかもしれない。私はTwitterであえて性別をぼかす試みをしているが、この小説の感想はどうしても女性目線での感情があふれてきたように感じる。いくつかのレビューを見ても、特に女性にお薦めしたくなる気持ちがわかる。

 

2020年に読んだ洋書の中で一番面白かったので、英語も苦労なく読めた気がする。(そんなに、冊数よんでないけど…笑)

 

ドラマとしてシーズン2まで配信されているよう。ただあらすじを見た感じ、小説にはない設定が組み込まれているので、見れたら見るぐらいかな(行けたら行く的な)

洋書感想「The Hobbits」ホビットの冒険

あらすじ

牧歌的な村で食べる事を今宵なく愛すホビットのビルボのもとに、魔法使いガンドルフと13人のドワーフが訪れ、ドワーフ達の先祖が奪われた土地と宝を奪還する旅に出かけないかとスカウトされる。最初は家から離れることを嫌がるビルボだったが、ドワーフ達の竜と財宝の歌に心を動かされ、またその場の勢いで旅に参加することになった。ドワーフ達からは頼りにされてないビルボだったが、旅の途中で姿が見えなくなる指輪を手に入れたことにより、多くの危機を切り抜けだし始める。果たしてこの一行は奪われた土地と宝を奪還することができるのだろうか?

 

感想

指輪物語は題名だけ聞いたことがある、あと指輪が謎の魔力があっていろんな人を狂わせるらしい?程度の知識程度だった。英会話レッスンで読書の話題がでたとき、次はホビットを読もうとしていると言ったら「あの本そんなに簡単ではないわよ!」と先生に言われたが、児童書だからきっと読めるはず!こう見えてもReadingは意外にできるのよ!と謎の自信を持っており、あまりアドバイスを気に留めていなかった。(のちに粉々に打ちのめされる)

 

本の感想は世界中で愛される名作なだけあって、韻の踏み方や自然の描写がすごく美しかった。特に自分の命を引き換えにしたゴクリとのなぞかけ合戦が非常に面白く、本を読むのを止めて、なぞかけの答えをついつい考えていた。

 

序盤ではおうち大好きなビルボにもう少し頑張りなさいよ!と叱咤を入れたくなり、トロールや蜘蛛の大群に捕まり何度も死に目にあうドワーフ達にこの弱すぎる軍団が本当に竜と戦えるのか?と不安になりながら読み進めていた。もう何度となく、早くガンドルフ助けて!魔法でなんとかして!と思ったことか笑 しかし物語の途中からビルボが姿の見えなくなる指輪を手に入れたことから、事態が好転し数々の困難を乗り越えだし始める。指輪は非常に役立つ魔法のアイテムだったが、いくつもの危機的な状況を回避し、侮られていたドワーフ達からも信頼を勝ち得ていくようになった自信が、ビルボを少しずつ強くなれたのでないかなと。終盤では単独で動き解決策を模索する姿は、とても旅の初めのお家大好きなおっとりビルボとは思えず、彼の成長が非常に嬉しかった。

 

しかし、1930年代に書かれた本なので文法が難しく小説の世界に入りきれなかった感じも…。まだ私のレベルでは早かったと思うので、もう少し多読を続けてもう一度読み直したい。あとこの本は指輪物語の序章で、本編の指輪物語は後40万文字あるそうなので、シリーズ全てを読み終わるのはいつになるやら…笑